会員登録より先に、誰と誰をつなぎ、何をもって成立とするかを決めます。利用者の状態、権限、運営者の作業、成立後の記録まで整理してから、最初の開発範囲を絞ります。
1. つなぐ相手と、成立の定義を決める
「マッチング」の意味はサービスによって異なります。求人と応募者、相談者と専門家、商品と購入者など、登場する立場が変われば、入力する情報も判断の条件も変わります。最初に、次の三つを一文で書きましょう。
- どの立場の人が会員になるのか
- 何を見て、どの情報を比較するのか
- どの状態になれば「成立」と呼ぶのか
成立を「お互いが興味を示した時点」とするのか、「連絡先を交換した時点」とするのか、「サービス提供が完了した時点」とするのかで、必要な画面や通知、運営側の確認方法が変わります。曖昧なまま作ると、会員には完了に見えるのに運営側では未処理、といった状態が残ります。
2. 会員がたどる流れを状態で書く
画面一覧より先に、会員の状態と、申し込みごとの進み具合を分けて並べます。会員の状態は登録途中・審査待ち・利用中・利用停止など、申し込みの状態は連絡中・成立・終了などです。一人が複数の相手とやり取りするサービスでは、会員が利用中でも、申し込みごとの進み具合は異なります。
横幅が狭いときは左右にスクロールできます
| 状態 | 会員ができること | 運営側の判断・対応 |
|---|---|---|
| 会員:登録途中 | 入力を再開・修正する | 未完了の情報を確認する |
| 会員:利用中 | 検索、閲覧、申し込みを行う | 不適切な情報を確認する |
| 申し込み:連絡中 | 相手へ連絡し、履歴を見る | 通報や問い合わせに対応する |
| 申し込み:成立後 | 次の手続きや終了報告を行う | 状態を確定し、必要な記録を残す |
状態を決めると、ボタンの表示、通知のタイミング、戻れる範囲、運営者が介入する場所が見えてきます。会員ポータルで扱う情報は、利用者に見せるだけでなく、運営者が確認し、必要なら差し戻せる設計にしておくことが重要です。
3. プロフィールと検索条件を絞る
プロフィールの項目は、入力できるから増やすのではなく、相手を選ぶ判断に必要かで決めます。必須項目と任意項目、公開範囲、本人確認の有無、更新後の再審査が必要かを分けて考えます。
検索条件も、最初から細かくしすぎないことが大切です。条件を増やすほど便利になるとは限らず、該当する相手が見つからない、入力が面倒で登録が終わらない、といったことが起きます。まずはサービスの成立に欠かせない条件を選び、利用状況を見て追加する段取りを作ります。
4. 会員・運営者・管理者の権限を分ける
会員が自分の情報を編集できることと、他の会員の情報を閲覧できることは別の権限です。運営者が問い合わせに対応するために見られる範囲と、システム管理者が設定を変更できる範囲も分けます。次のように役割を並べると、抜け漏れを確認しやすくなります。
- 会員:自分のプロフィール、申込状況、必要な連絡履歴
- 運営者:担当範囲の会員情報、通報、状態変更、問い合わせ対応
- 管理者:会員・運営者の権限、設定、監査に必要な操作
退会、利用停止、担当変更、誤操作からの復旧も、権限設計に含めます。決済・請求や認証、外部サービス連携がある場合は、どのシステムを正式な記録とするかも先に決めましょう。関連する設計要素は、公開されている法人向けクラウドアプリ基盤の紹介にも整理されています。
5. 成立前後の運用を決める
マッチングの成立後に、人が確認するのか、自動通知だけで進めるのか、トラブル時にどの履歴を使うのかを決めます。運営担当が毎日行う作業を、次のように書き出してください。
- 01新しい登録や申請を確認する
- 02不備や不適切な情報を差し戻す
- 03問い合わせ・通報に対応する
- 04状態を確定し、必要な記録を残す
- 05利用停止や再開を判断する
この手順が決まると、管理画面に必要な検索、一覧、履歴、通知、出力の優先順位が見えてきます。会員向け機能だけを先に作ると、公開後に運営作業が人手の表計算へ戻ることがあるため、運用画面も最初の要件に含めましょう。
6. 最初に作る範囲と、後で足す範囲を分ける
すべての条件、通知、決済、評価、外部連携を一度に入れる必要はありません。成立までに欠かせない流れを最初の範囲とし、運営が回ることを確認してから、検索条件や自動化を広げる方法もあります。開発前に「この機能がないと検証できないもの」「人の作業で代替できるもの」「利用が確認できてから追加するもの」を分けてください。
- 成立の定義と終了条件を一文で説明できる
- 状態ごとの会員・運営者の操作が決まっている
- 公開情報、非公開情報、管理者だけが見る情報を分けている
- 問い合わせや通報に対応する履歴が残る
- 最初の検証範囲と、後で追加する機能を区別している
会員制サービスを目的から整理したい場合は、作りたい仕組みの整理から相談することができます。公開されている開発実績一覧も、必要な機能を考えるときの入口です。大切なのは、画面の数ではなく、利用者と運営者が迷わず次の状態へ進めることです。
